これからカーシェアリングを利用しようとしている方の中には「車を運転するには保険が必要だけど…」「自動車保険を自分で契約しなければならないの?」と不安や疑問に思われている方がいらっしゃるかもしれません。
マイカーと比べて不慣れなカーシェア車両の運転は、操作感覚がつかめるまで事故を起こさないか心配になります。しかし、聞くところによると操作感覚に慣れた頃が一番危ないとか。
車の運転には常にリスクが伴いますので保険・補償制度は必須ですね。カーシェア利用中の事故には、いったいどのような保険が適用されるのでしょうか?「タイムズカー」「三井のカーシェアーズ」「オリックスカーシェア」それぞれの事業者ごとに掲載しています。
目次
カーシェアリングの形式と保険
カーシェアには大きく分けて「レンタカー型カーシェアリング」と「個人間カーシェアリング(マイカーシェア)」の2つの形式(業態)があります。
レンタカー型カーシェアリングの保険
レンタカー型カーシェアリングは「自家用自動車有償貸渡業(レンタカー業)」の許可をとり、レンタカー登録されたクルマを会員に貸し出すタイプのカーシェアです。タイムズカー・三井のカーシェアーズ・オリックスカーシェアなどがレンタカー型カーシェアリングにあたります。
レンタカー業では、公示された補償額以上の保険に加入していないと許可が下りませんので、保険は必ず掛けられている状態です。保険料は利用料金に含まれており、利用者が新たに保険の契約を結ぶ必要はありません。
個人間カーシェアリングの保険
個人間カーシェアリング(マイカーシェア)は、クルマのオーナー(所有者)と利用者(使用者)が「共同使用契約」を結ぶタイプのカーシェアです。エニカ(株式会社 DeNA SOMPO Mobility)が代表的な個人間カーシェア事業者です。
個人間カーシェアリングでは、利用料金の他に「1日自動車保険」や「時間単位型自動車保険」などの契約が別途必要になります。マイカーをお持ちの方は、ご自身の自動車保険の「他車運転特約」を利用できる場合があります。
レンタカー型カーシェアの保険・補償金額比較
レンタカー型カーシェア保険・補償金額比較表 | ||||
---|---|---|---|---|
事業者 | タイムズ | 三井のカーシェアーズ | オリックス | 許認可公示額 |
対人補償 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 8,000万円以上 |
対物補償 | 無制限(免責0円) | 無制限(免責0円) | 無制限(免責0円) | 200万円以上 |
車両補償 | 時価額(免責0円) | 修理費サポート | 時価額(免責0円) | – |
人身傷害補償 | 無制限 | 1名につき6,000万円まで(無保険車傷害2億円) | 1名につき3,000万円まで | 500万円以上(搭乗者保険として) |
・対物補償とは、他人の物や車に損害を与えた場合の補償です。
・車両補償とは、カーシェア車両に損害があった場合の補償です。
・人身傷害補償とは、自身や同乗者が死傷した場合の補償です。
対人・対物補償の公示はそれぞれ8,000万円以上、200万円以上ですが、どちらも「無制限」となっていますので、ひとまずは安心して乗車できますね。一方、搭乗者に関わる保険(人身傷害補償など)にはバラツキが見られます。
車両保険については、初回事故の免責金額は0円ですので、万が一事故を起こしても基本的にノンオペレーションチャージ以外に車両修理代の持ち出しはありません。しかし、会社によっては2回目以降は0円でなかったり、大きな事故を一定期間に複数回おこすと会員資格が取り消され全額を請求されてしまうこともあります。カーシェアでは1度事故を起こすと制度的にも心理的にも利用しづらくなることがあります。これは心しておきましょう。
タイムズカーの保険・補償制度
保険・補償金額
タイムズカーには万が一の事故に備えるための、対人/対物/車両/人身傷害の各種補償がセットされています。自賠責保険ではカバーしきれない部分を補う保険で、保険料はすべてカーシェア利用料金の中に含まれています。
保険・補償制度〈タイムズカー〉 | |
---|---|
対象 | 補償金額 |
対人補償 | 1名につき 無制限(自賠責保険 3千万円を含む) |
対物補償 | 1事故につき 無制限(対物免責額 0円) |
車両補償 | 1事故につき 時価額(車両免責額 0円) |
人身傷害補償 | 1名につき 無制限 |
2024年6月25日時点の補償内容です。出典:https://share.timescar.jp/fare/compensate.html
保険・補償が適用できない例
- 会員以外の方の運転
- 追加運転者登録をしていない方の運転
- 予約者が同乗していない運転
- 無断延長
- 事故の無申告
- 虚偽申告
- 警察へ未届
- 相手方と直接示談
- 飲酒運転など法令違反
- 車両返却後の事故報告
- 正常な運転ができない状態での事故
三井のカーシェアーズの保険・補償制度
保険・補償金額
三井のカーシェアーズには、突然の故障・事故などのトラブルにあっても安心の、保険・補償制度が用意されています。保険料はすべてカーシェア利用料金の中に含まれています。
対象 | 補償金額 |
---|---|
対人補償 | 1名につき無制限(自賠責保険を含む) |
対物補償 | 1事故につき無制限(免責0万円) |
人身傷害補償 | 1名につき6,000万円まで(無保険車傷害特約1名につき2億円) |
車両補償 | 別途修理費用等のサポート制度あり |
2024年2月22日時点の補償内容です。出典:https://www.carshares.jp/flow/usage/trouble/
保険・補償が適用できない例
- サポートセンターならびに保険会社への連絡がなかった場合
- 利用中の車両盗難によって生じた損害
- 会員ではない方、および三井のカーシェアーズが認めた登録運転者以外が運転した場合
- 予約時に予約した方以外の方が運転して起こした事故(例外あり)
- 無免許運転、酒気帯び・酒酔い運転によって生じた事故
- 麻薬等の影響で正常な運転ができない恐れがある状態での運転によって生じた事故
- 事故発生時に警察への連絡・届出がない場合
- 故意・重過失の事故の場合
- 競技・曲技を行ったり、練習したりした場合
- 連絡が無いまま超過して利用している際に起こした事故
- 鍵の紛失や車両装備等の故障
- 配偶者、父母、子に対する損害賠償 (同乗時に発生した場合の事故を除く)
- その他、ホームページや貸渡約款に掲げる事項に違反があった場合
オリックスカーシェアの保険・補償制度
保険・補償金額
オリックスカーシェアでは、万が一の事故にそなえ保険料を含んだ利用料金が設定されているため、別途保険契約を結ぶ必要はありません。
対象 | 補償金額 |
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対人 | 1名限度額 無制限(自賠責保険含む。免責0円) |
対物 | 1事故限度額 無制限(免責0円) |
車両 | 1事故限度額 時価額(免責0円) |
人身傷害 | 1名につき 3,000万円まで |
2024年6月25日時点の補償内容です。出典:https://www.orix-carshare.com/plan/index05.htm
保険・補償が適用できない例
事故を起こした時に警察へ届けなかったり、事故トラブル専用窓口に連絡を入れなかったなどの手続き上の不備がある場合や、貸渡約款に違反している場合、また、損害保険の保険約款の免責事項に該当する場合は、保険・補償の適用外になることがあります。下記のような、利用者に使用・管理上の落ち度があった場合も同様です。
- 会員でない方が運転をしている場合
- キーをつけたまま、または施錠しないで駐車し盗難にあった場合
- 使用方法が劣悪なために生じた車体等の損傷や腐食の補修費
- 車内装備の汚損・装備品の紛失・ジュニアシートの取付および装着不備による損害
- 海岸、河川敷または林間等車道以外で走行した場合の車両損害(維持、管理された道路以外での事故)
- 給油時の燃料種別の間違いにより生じた補修費等の損害等
カーシェアの保険・補償制度の注意点
カーシェア3社とも保険料は利用料金に含まれていますが、私たち利用者は保険契約の内容を変更する事ができません。しっかりと事前に確認してから利用しましょう。
貸渡約款や利用上のルール違反をすると保険適用外となってしまう事もあります。期待通りの補償を受けられないどころか、一切保証を受けられない場合もありますので十分注意しましょう。